1.指先調整能力の育成

指先の調整能力が未発達な子どもは、学ぶ力が弱く、思考力や想像力も低いレベル(つまり、チンパンジーと同じレベルです)なので、 暗記したり、繰り返したり、覚えたりすることによって知識を増やすということになりがちです。そのため、まず「以前やったことがあるか」、 「それを覚えているか」という考えになります。つまり、新しい問題があっても、それを解決しようという意欲が育たないのです

2.空間能力の育成

三次元空間の座標軸は、上下・前後・左右です。人間の目は情報を二次元で捉え、頭の中で三次元に再構成しているのです。つまり、 三次元空間把握能力は、人間が創った後天的な能力なので、放っておいて育つものではありません。しかし、旧来の教育では空間把握能力を 育成するという考え方が存在しなかったので、ほとんどの大人の空間把握能力は低いままです。また、単に教える・覚えるという教育には 空間把握能力や思考力は必要とされません。そして、大人が理解していないものは、子どもに教えることはできないのです。
知性の中に空間把握能力がないと、解答はできても問題解決能力は育ちませんし、日常の生活でも様々な形でそれが現れます。物を失くす、 こわす、ぶつかることが多い子どもは、空間把握能力や構成把握能力が低いことが多いのです。また、繰り上がりや繰り下がりの計算が できない子どもは、点描写が苦手です。構成把握能力が低いからです。

3.図形能力の育成

育てるという言葉は、創りあげるということです。種や要素から、環境を与えて生育させ、人類共通の認識レベルまで創りあげるのです。 図形能力は、人類がこの世を捉えるために考え、創りあげた能力ですので、後天的に自らの脳の中で創造するしか方法はありません。 例えば、円・三角形・四角形という図形も、頭の中に育てないと捉えることができないのです。つまり、自分の頭の中にある図形しか認識 できないのです。ですから、図形能力は幼児期にじっくりと育て上げてほしいのです。

4.思考・判断能力の育成

図形能力・空間能力・数論理能力を駆使しつつ、全体把握、構成把握、関係把握、消去法、比較法などを使って思考し、判断し、答えを創ります。

5.数論理能力の育成

数学的思考力とは、空間位置把握能力と図形形態把握能力と数論理能力が総合されたものであり、現実を知的に理解する方法の体系的 能力です。全ての能力は、数学的能力に集約され、その土壌の中から花開くのです。そのためには、人類の知性獲得の歴史に準じて体系 づけられた多量の事実のみを、楽しく刺激するように子どもに与え、数学的知性や思考力を育て上げる必要があります。そこから、高い 創造力が養われるのです。
さて、数論理能力の育成ですが、まずは1万までの数の認識と加減暗算能力の育成を通して、命数法・記数法をマスターします(特に 20までが大切)。長さ・時間・かさ・重さ・角度・面積・体積などの量の測定や計算は、1万までの数の認識と加減暗算能力の 発展応用問題にしか過ぎませんから、その後の学習がスムーズになります。
九九を指導する前に、掛け算の意味を加減計算を使って理解させます。10の掛け算から、5の掛け算→1の掛け算→2の掛け算→ 3の掛け算→9の掛け算→4の掛け算→6の掛け算→7の掛け算→8の掛け算の順番で、3ケタ×1ケタまでを指導します。さらに、 文章問題までできるようにしてから、九九の指導を始めます。3ケタ×1ケタの掛け算ができるのだから、1ケタ×1ケタの九九など 簡単にマスターできます。
ピグマリオンの掛け算指導は、同時に割り算、面積、倍数約数なども同時に学べるので、その後の学習がスムーズになります。さらに、 思考力教育として空間把握能力を育成しているため、立体図形・立方体と直方体の理解、空間上の位置や関数・グラフの学習がスムーズに なります。

6.言語能力の育成

本をたくさん読んでも、それだけで言語能力は伸びません。思考力を高めると、他者とのコミュニケーションを求めて自然に本を読み だします。このときに、本当の言語能力が育つのです。高い知性を育てるためには、高い言語能力が必要です。そして、高い言語能力は 高い社会性を持っています。なぜなら、最も高い知性とは、社会性のことだからです。言語能力は、数学的思考力(空間・図形・数論理 能力)の表現技術に過ぎません。よって、数学的思考力の高い子どもは、国語の成績もよいのです。